2020.02.19 UP
富田英明のすてきな寄せ植えづくりpart7
彩り豊かな草花と小球根で、かわいい早春の寄せ植えをつくる
過去記事
出来をワンランクアップ!富田英明さんに聞く、寄せ植えづくり
富田英明の春の寄せ植え3つのポイントでステキな寄せ植えづくり
富田英明の春の寄せ植え3つのポイントでステキな寄せ植えづくりpart2
富田英明のすてきな寄せ植えづくりpart3はじめてのリングバスケットづくり
富田英明のすてきな寄せ植えづくりpart4秋の草花でフォルムの美しい寄せ植えを
富田英明のすてきな寄せ植えづくりpart5草丈の似た秋の草花でつくる
富田英明のすてきな寄せ植えづくりpart6お正月の寄せ植えづくり
今年は暖冬と言われていますが、2月になるとやはり寒くなりますね。私の住む八王子は東京都心よりもさらに寒さが増すエリアです。こんなとき、寄せ植えで春の訪れをひと足先に楽しんでみませんか。今回は、ラナンキュラスや小球根のムスカリを使ったかわいい寄せ植えをつくります。
今回、用意したのは、主役のラナンキュラス、プリムラ・マラコイデスの品種’ウィンティー’、ニオイスミレ、イングリッシュ・デージー、小球根のムスカリ、香りのよいつる性の花木ハゴロモジャスミンです。コンテナは、高さのある径21cmの底穴の開いたブリキ容器、元肥としてマグァンプKを施します。
わたしがイメージする寄せ植えは、一体感があり、植物同士が仲よくずっとそこに植わっているような感じに仕上げるものです。そして、わたしがみなさんに伝えたいのは、最初は花選びであまり色合わせを気にせずに、好きな花を選び、フォルムをきれいに仕上げることだけを考えほしい、ということです。フォルムが美しければ上手に見えますし、上手に見える寄せ植えなら、またつくりたくなります。そうして、寄せ植えづくりに慣れ親しんでいくことで、色合わせも自然にできるようになります。ではつくっていきましょう。
ブリキの容器の底に、鉢底石として軽石を入れ、市販の草花用培養土を途中まで入れます。培養土には、元肥としてマグァンプK を適量施します。
フォルムをきれいに仕上げていくためには、三つのポイントがあります。一つ目は「高めに植える」です。高めとは、写真の赤丸の下葉の部分が容器の縁にかかるくらいに植える感じです。これで見栄えが増してボリューム感も出ます。
二つ目のポイントは、花苗を上から見ると幅が広い方と狭い方がありますが、広い方を写真の青い丸のような横向きに配置し、植えます。ではなぜ横向きなのか。寄せ植えの植物たちの一体感、植物がみな仲よくしているイメージを出すためです。人でも、横の人と肩を組むと仲よくできますよね。
三つ目のポイントは、花丈あるいは草丈の高い方を、容器の中心に向けて植えます。写真では黄色い丸の、花丈の高い方を内側へ向けています。そうすることによって、寄せ植えのフォルムが綺麗な山なりに仕上がります。では、一つ目の花苗ウインティーを植え、そして二つ目の花苗、ラナンキュラスを植えたら、隣のウィンティーの葉に合わせるようにラナンキュラスの葉も合わせていきます。
次に、イングリッシュ・デージーを植えます。背丈が低いので高めに植え、少し斜めに向けます。なぜかというと、デージーの根元の中心が凹んでいるので、真上に向けてしまうと平面的な仕上がりになってしまうからです。そして斜めに植えるときの注意点は、ウィンティーとの間が空かないように、デージーをウィンティーにぐっと寄せてから斜めに片向けます。
ここで、さらに花苗を植えていく前に、あらかじめ真ん中付近に土を足しておきます。この後では入れにくくなります。
次にニオイスミレを植えます。デージーと同じように斜めに向けて葉を合わせます。
その次に植えるのは、小球根のムスカリです。もし、株が寄せてあるようなら、一株ずつにバラして植えます。ムスカリは開花期間が短いので、寄せ植えには硬めのツボミのものを選ぶとよいでしょう。
小さな苗を複数植えるときのポイントは、周りだけではなく真ん中に一つ配することです。そうすることで、寄せ植えに一体感が出て、植物同士が仲よく見えるようになります。
最後はハゴロモジャスミンです。これも二つに分けます。苗によっては、ひと株から出ているのではなく、2~3本まとめて植えられている場合があります。苗を目線の高さに持っていき、茎が垂直に複数本出ていれば分けられると判断してください。
分けたハゴロモジャスミンは、それぞれシュッと長い枝があるので、そのうちの一本は真ん中に持っていくように整えます。ただし、苗自体は容器の縁に沿って植えるようにします。長い枝だけを真ん中へ持っていきましょう。花や枝の見える位置と、根鉢を植える位置は決してイコールではありません。その差異が、寄せ植えの動きとして表れて、アレンジとしての完成度が高まります。写真のように、赤い丸で囲んだ根鉢は容器の端へ、青い丸で囲んだ根鉢はニオイスミレへ寄せて植えるようにします。
すべての苗を植えたら、土をまわりに足していきます。土を足すときの注意点は、花や枝を掌でべったりと触らずに、そっと軽く持ち上げることです。それまでのフォルムがくずれないように注意して作業をします。そして、足した土を最初は少し強く、だんたんと力を抜くようにして落ち着かせていきます。あまりに強く押さえると、水や空気の通りが悪くなって、生育にまで影響が出てきます。
その後の管理ですが、鉢土がしっかいりと乾いてから、鉢底から十分に流れ出るくらい、たっぷりと水を与えます。目安は容器の倍くらいの分量です。そのとき、花にかからないように注意してください。2~3か月して、寄せ植えを解体する際は、多くが多年草ですから、もし地面があれば路地に植えて来年も花を楽しめます。
いかがでしょう、ラナンキュラスを主役に小球根を使った春の寄せ植え、フォルムさえきれいに整えて植えれば、みなさんのつくる寄せ植えも必ずきれいに仕上がります。花の種類や色合わせにあまり神経質にならず、お好きな花でフォルムを整えることにだけ注意して、寄せ植えづくりに挑戦してみてください。
人気コンテンツ
POPULAR CONTENT