2020.05.27 UP
東京花散歩 散歩deバラを楽しむ
新型コロナウイルスの影響で、軒並み植物園、バラ園も閉鎖中、東京で、なかなか美しいバラを見る機会がありません。しかし、十分な感染症対策の上で、戸外の散歩は可能です。そんな都心の散歩エリアにある2ヶ所のバラの花景色を、まずは画像で見て楽しんでいただければ幸いです。今月いっぱいなら、まだまだ花は見られるかもしれません。
代々木公園「バラの園」
最初は、広大な敷地を誇る代々木公園です。戦前、陸軍の練兵場だった敷地が戦後ワシントンハイツとなり、1964年の東京オリンピック時に返還され、公園および代々木選手村として整備されました。敷地面積は約54haで、東京都では5番目に広い公園です。そして、この一角にバラが咲くコーナー「バラの園」があります。
アーチやポール、ベッドなど立体的仕立てられている。
アーチやポール、ベッドに仕立てたバラや、品種のバラが、園路沿いからもよく見えるように植栽されています。品種名もわかりやすく表示されていて、往年の銘花など数は多くありませんが、よく知る花も見られます。花色もいろいろ、多彩な景色を手軽に楽しめます。
‘ヘンリー フォンダ’、見やすい植栽とわかりやすい品種名板
‘ピンク メイディランド’
‘ブルー ムーン’
‘夢想(むそう)’
‘希望(きぼう)’
‘聖火(せいか)’
といっても、ここは全体の敷地も広く、花の最盛期でもバラのために人が集まっている様子もなく、カップルや親子、夫婦の散歩やランニング、そして仕事の休憩の合間の息抜きなどの人がほとんどです。ちなみに私も、昼休みの散歩組の一人でした。でも、十分に花を楽しめる「バラの園」です。
‘新雪(しんせつ)’
‘若菜(わかな)’
‘丹頂(たんちょう)’
‘シャルル ドゴール’
‘ケアフリー ワンダー’
‘エレガント・レディ‘、遠くに高層ビルが見える
東京タワーとオーガニックローズのコラボ
ガゼボを中心にたくさんのバラが咲くプリンス芝公園
次は、芝公園に隣接する、プリンス芝公園のバラです。隣接の芝公園は、1873年(明治6年)の開園で、上野恩賜公園などと同様古い公園です。元々が増上寺の敷地でしたので、今の芝公園は寺を囲むように位置しています。そしてプリンス芝公園は、芝ゴルフ場跡に出来た、ザ・プリンスパークタワー東京の敷地にあります。ここでの楽しみは、東京タワーとバラのコラボレーション。ここでしか見られない、東京らしい景色に出会えることです。
‘ストロベリー アイス’と東京タワー
原種系、名前は不明
修景バラとオルラヤの混植
‘金蓮歩(きんれんぽ)’
そして、ここのバラはオーガニックで栽培されています。都心で、オーガニックで、そしてこれだけたくさんの花を咲かせるのは、普段の手入れがかなり大変だと思われますが、しっかりとされているのでしょう。花どきの素敵な景色からはそう思われます。
‘マジカル ミラクル’
‘ノヴァーリス’
‘ファニーフェイス’
もちろん、ここも人気の散歩コースです。芝公園と繋がる園路にはさまざまな人がやってきます。そして、東京タワー、プリンスパークタワー、増上寺といった建造物や、オフィスビルが建つ都心の景色を背景に、香り立つバラの花に囲まれてみるのもいいものです。帰り際、すでにアジサイも咲き始めていました。
歩きやすい園路に沿ってバラや草花が咲き乱れる。
ガゼボやアーチが多用され景色をつくっている。
芝公園増上寺側からの景色。‘アンジェラ’の向こうに見える東京タワーは今でも格好いいですね。
いかがでしたか。こういった時世でも、身近なところに今までは見落としていた素敵な花景色もあるものです。この他にも、江戸川区南葛西の総合レクリエーション公園のフラワーガーデンのバラなども、今年見られる散歩エリアのバラの一つだと思います。名所といわれるバラ園ばかりではなく、日常の散歩の際に身近なバラ景色を見つけてみてはいかがでしょう。もちろん、新型コロナウイルス対策をきっちりとした上で……。
総合レクリエーション公園・フラワーガーデンのバラ
すでに、緊急事態宣言が解除された府県では、植物園などの施設の開園が始まっています。もちろん、首都圏との移動の自粛は続いていますが、お近くに施設があれば、北関東や長野、東北では、これから美しいバラが十分に見られます。
※写真は総合レクリエーション公園を除いて今年の様子です。
取材・構成・文・撮影 出澤清明
園芸雑誌の元編集長。植物自由人、園芸普及家。長年関わってきた園芸や花の業界、植物の世界を、より多くの人に知って楽しんでもらいたいと思い、さまざまなイベントや花のあるところを訪れて、WEBサイトやSNSで発信している。
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