2021.10.18 UP
【家庭菜園】
【春菊(シュンギク)の育て方】栽培方法のコツをご紹介
お鍋やすき焼きの定番食材として親しまれている「春菊(シュンギク)」は家庭菜園向きの野菜のひとつです。また海外では、美しい黄色い花を咲かせる観賞用の植物としての人気が高い野菜です。
春菊(シュンギク)にはプランターで育てやすい品種をはじめ、摘み取り型で長く収穫を楽しめる品種もあります。栄養価も高く、栽培期間も約2ヶ月と短いので初めて家庭菜園に挑戦される方にもぜひおすすめの野菜です!
ここでは、春菊(シュンギク)栽培が初めての方にもわかりやすく、育て方の基本やコツ、栽培の手順、気をつけたい病害虫について詳しく紹介していきます。
☘17:春菊(シュンギク)の育て方|おすすめの品種や種まきのタイミング、収穫方法などもご紹介|
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春菊(シュンギク)の栽培時期について
春菊(シュンギク)は、「春まき」と「秋まき」が可能です。生育適温は15℃~20℃と冷涼な気候を好みます。比較的暑さと寒さには強い春菊(シュンギク)ですが、霜に当たると葉が傷んでしまいますので、秋まきをして育てる場合は種まき時期を逃さないように気をつけましょう。
春菊(シュンギク)の栽培時期は、栽培環境や地域、品種によって異なります。ここで紹介する栽培時期は参考程度にご覧ください。
春菊(シュンギク)の春まき時期
種まき時期:3月中旬~4月中旬
収穫時期:5月~6月
地域によっては3月中旬頃から種まきが可能です。30℃以上の高温になるとトウ立ちして春菊(シュンギク)の生長が鈍くなります。温暖な気候の地域で春菊(シュンギク)を育てる場合は秋まきのほうがより育てやすいですが、春まきをして育てる場合はできるだけトウ立ちしにくい品種を選ぶのがポイントです。
春菊(シュンギク)の秋まき時期
種まき時期:9月~10月
収穫時期:10月~12月中旬
秋まきは春まきに比べて病害虫被害が比較的少なく、育てやすいので家庭菜園初心者にもおすすめです。春菊(シュンギク)の生育期間は約2ヶ月~3ヶ月です。冷涼な気候を好みますが霜には弱いので、霜が降る前に収穫を済ませておきましょう。
春菊(シュンギク)の品種と栽培のコツやポイント
独特な風味とシャキシャキとした食感が特徴の春菊(シュンギク)は、カルシウムやβカロテン、鉄分、リン酸、カリウム、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどビタミン類も多く含まれる栄養価の高い野菜です。特にβカロテンは、ほうれん草(ホウレンソウ)よりも含有量が多く、呼吸器系の免疫を高める効果や胃腸の活性化効果が高まるといわれています。
春菊(シュンギク)といえば、鍋物やすき焼きに多く用いられている印象がありますが、他にもお浸しや和え物などの料理の材料としても使えます。
春菊(シュンギク)の品種について
春菊(シュンギク)には、さまざまな品種があります。葉の切れ込み具合で、九州地方や四国地方等関西以西で好まれている「大葉種」、日本国内で最も出回っている「中葉種」、あまり市場に出回っていない「小葉種」の3つの種類に分類されます。
大葉種
大葉種は葉の切れ込みが浅く、葉幅が広いのが特徴です。春菊(シュンギク)の独特な風味が少ないことから、サラダなどにして食べるとおいしいです。
中葉種
日本国内で最も多く栽培されている品種は「中葉種」です。中葉種は葉の切れ込みがやや多く、葉幅もやや広いのが特徴です、「株張り型」と「株立ち型」に分類されています。株張り型は春菊(シュンギク)の側枝が多く発生するため、収穫時期をむかえたら株をまるごと引き抜き収穫するのが特徴です。株立ち型は春菊(シュンギク)の側枝の伸びが旺盛なため、収穫時期をむかえたら必要な分だけ枝を摘み取り収穫するのが特徴です。
小葉種
葉の切れ込みが深く、葉幅が細かいものを「小葉種」といいます。大葉種や中葉種に比べて春菊(シュンギク)の茎や葉がやわらかく食べやすいのが特徴です。スーパーなどでもあまり見かけることのない品種ですが、家庭菜園でも育てられるのでぜひ挑戦してみてください。
春菊(シュンギク)栽培のコツやポイント
冷涼な気候を好む春菊(シュンギク)は、春まきよりも秋まきの方が育てやすくておすすめです。寒くなって霜にあたると葉が枯れてしまいますが、しっかり本葉が出ている場合は防寒対策をすれば1月頃まで収穫することも可能です。
春菊(シュンギク)は種まきのあとから発芽までは、乾燥を特に嫌います。土が乾燥し過ぎないように種まきあとはしっかり水やりをすること、乾燥予防に敷き藁などをかけておきます。
種まきをしてから時間が経っても発芽しないときは、覆土が厚いことが原因のケースが多いです。春菊(シュンギク)の種は好光性種子であり、光に当たることで発芽します。種まきをしたあとに厚く覆土してしまうと上手く発芽しないことがあります。覆土するときは春菊(シュンギク)の種が少し見えるくらいの厚さで軽く土をかける程度でOKです。
春菊(シュンギク)の土作り
春菊(シュンギク)は地植えでもプランターでも、どちらでも育てられます。プランターで育てるときは「ハイポネックス 野菜の培養土」等の野菜用の培養土があると簡単で便利ですが、自作した土を使って育てることも可能です。
pH6.0~6.5と中性に近い弱酸性の土壌を好む春菊(シュンギク)は、酸性の土壌が苦手です。酸度を調整するために種まきをする2週間前に苦土石灰を入れ、1週間前に堆肥と「マグァンプK 中粒」等の化成肥料をまいて土をしっかり耕します。
地植え栽培の土作り
春菊(シュンギク)は連作障害があります。同じ畑で春菊(シュンギク)を育てるときは1年~2年ほど栽培間隔をあける必要があります。栽培場所は程よく日が当たり、風通しの良い場所を選んでください。
STEP1. 苦土石灰をまいて耕す
STEP2. 堆肥と化成肥料をまいて耕す
STEP3. 畝を立てる
春菊(シュンギク)が好む中性に近い弱酸性の土壌になるように、種まきより2週間前に畑に苦土石灰をまいて耕します。苦土石灰は1㎡あたり100g~150gまきます。種まきより1週間前になったら、畑に堆肥と化成肥料をまいて耕します。堆肥は1㎡あたり1~2kg、化成肥料は1㎡あたり100gまきます。
1週間ほどすると土に堆肥と化成肥料がなじむので、種まきをする前に高さ10cm、横幅60cmの畝を立てておきます。春菊(シュンギク)の種が発芽しやすいように、畝を立てるときに障害物となる土の塊はほぐし、小石なども取り除きます。最後に土をきれいに平らになして、板などを使って軽く土の表面を鎮圧します。
プランター栽培の土作り
土を自作するときは、小粒の赤玉土6に対し、腐葉土を3、バーミキュライトを1の割合でしっかり混ぜておきます。地植え栽培用の土作りと同じく、種まきより2週間前に苦土石灰をまぜます。苦土石灰は用土10リットルあたり、10gまぜます。種まきより1週間前に「マグァンプK 中粒」や「Plantia 花と野菜と果実の肥料」、もしくは「今日から野菜 野菜の肥料」等の化成肥料を用土10リットルあたり10gまぜておきます。
春菊(シュンギク)の種まき
春菊(シュンギク)を栽培するための土が完成したら、早速種をまいていきましょう!
秋まきをする場合は、種まきが遅くなると収穫前に霜にあたって枯れてしまう恐れがあるので、適期をむかえたら早めに種まきをします。
地植え栽培の種まきのやり方
STEP1. 畝にまき溝をつける
STEP2. まき溝に種をまく
STEP3. 軽く覆土する
STEP4. 水やりをする
STEP5. 新聞紙や敷き藁をかける
用意した畝に支柱や棒を使ってまき溝をつけます。条間15cmで深さ1cmのまき溝を二列作ります。春菊(シュンギク)の種はまき溝に1cm~2cm間隔で筋まきします。種が重なってしまっても構わないので、少し多めに種をまいておきます。種をまき終えたら軽く覆土します。光に当たって発芽する性質を持つ春菊(シュンギク)の種は、覆土が厚すぎると発芽率が低くなってしまうので、種がうっすら見えるくらいの薄さで覆土すればOKです。
覆土したあとは種が流れてしまわないように気をつけながら、たっぷりと水やりをします。春菊(シュンギク)の種は乾燥に弱いので、発芽するまでは新聞紙や敷き藁をかけて乾燥しすぎないように水やりを続けてください。
プランター栽培の種まきのやり方
STEP1. プランターに鉢底石を敷く
STEP2. プランターに用土を入れる
STEP3. まき溝をつける
STEP4. まき溝に種をまく
STEP5. 軽く覆土する
STEP6. 水やりをする
STEP5. 新聞紙をかける
春菊(シュンギク)はプランターや鉢でも育てられます。プランターで育てるときは60cmのもので8株~10株くらい、10号の鉢で3株~5株くらい栽培可能です。「ハイポネックス 野菜の培養土」等の野菜用の培養土を用意してもいいですし、自作した土を使うことも可能です。
プランターに鉢底石を敷き、8分目くらいまで用土を入れます。10cm~15cm間隔で深さ5mmのまき溝を二列作ります。まき溝に1cm~2cm間隔で筋まきしたら、軽く覆土してたっぷりの水を与えます。発芽までは乾燥に気をつけて水やりを続け、乾燥防止のために新聞紙をかけておきます。
春菊(シュンギク)の種は、種まきから5日~7日くらいで発芽します。株をまるごと収穫するタイプの品種を育てる場合は、時期を少しずつずらして種をまくと収穫を長く楽しめます。
春菊(シュンギク)の間引きの時期
発芽した春菊(シュンギク)は生長するにつれて葉が混み合ってきますので、数回にわけて「間引き」という作業を行います。間引きをする際は生育の悪いものを選んで指で引き抜きます。このときに引き抜いた春菊(シュンギク)の芽はやわらかいので、味噌汁の具材にしても美味しくいただけます。
間引きの時期について
株をまるごと収穫するタイプの春菊(シュンギク)は、収穫までに2回間引きを行います。1回目の間引きは、本葉が1枚~2枚になったタイミングで行います。春まきの場合は、4月上旬~下旬頃、秋まきの場合は9月中旬~10月下旬頃を目安に、株間が2cm~3cmになるように間引きます。
2回目の間引きは、本葉が4枚~5枚になったタイミングで行います。春まきの場合は、4月中旬~5月中旬頃、秋まきの場合は10月上旬~11月中旬頃を目安に、株間が5cm~6cmになるように間引きます。
伸びた側枝を摘み取り収穫するタイプの春菊(シュンギク)は、2回目の間引きのあとに株間が10cm~15cmになるように間引きをします。摘み取りタイプの春菊(シュンギク)は株間を広くとることで長く収穫を楽しめます。
間引きをしたあとは残した株が倒れやすくなっているので、株元に土寄せをしておくことも大切です。
春菊(シュンギク)の追肥
春菊(シュンギク)は2回目の間引きのあと、摘み取りタイプの春菊(シュンギク)であれば3回目の間引きのあとに追肥をします。肥料を好む野菜なので、間引きをしたら条間に「マグァンプK 中粒」等の化成肥料をまきます。化成肥料の量は1㎡あたり20g~30gで、まいたあとは中耕して土の表面をほぐしながら肥料をしっかりまぜ込みます。化成肥料の代わりに、「ハイポネックス原液」等の液体肥料を1,2週間に一度与えてもよいでしょう。
春菊(シュンギク)の摘心
摘み取り種の春菊を育てる場合、草丈が20cmくらいになった頃に「摘心」と呼ばれる作業を行います。春菊(シュンギク)の株元の葉を下から4枚~5枚残して主枝の先の部分をハサミで切ります。摘心を行うことで主枝の生長が止まり、わき芽に栄養がいきわたります。栄養をたくさん受けたわき芽はどんどん出てきて、たくさんの葉を収穫できるようになります。
春菊(シュンギク)の収穫時期
春菊(シュンギク)は、草丈が20cm~25cmくらいになった頃が収穫の適期です。
収穫のやり方
春菊(シュンギク)の収穫は、株をまるごと収穫するタイプのものは根元の部分を手で掴み引き抜く、またはハサミを使って切り取ります。必要な分だけ摘み取るタイプの春菊(シュンギク)は、摘心をして出てくる側枝が大きくなった頃に収穫をします。下の葉を2枚ほど残してわき芽を摘み取ります。こうすることで残した部分から新たに側枝が伸びるので、長く収穫を楽しめます。
摘み取りタイプの春菊の場合、葉の色が淡くなった場合、適宜「ハイポネックス原液」等の液体肥料を与えてください。
季節ごとの収穫ポイント
春まき・・・
トウ立ちをする前に収穫をします。
秋まき・・・
秋まきをして育てるときは霜が降ると葉が枯れてしまうので、収穫期をむかえたら早めに収穫をする、または霜よけや寒さ対策として寒冷紗や不織布などをかけておきます。霜に弱い春菊(シュンギク)ですが、冬にも収穫を続ける方法があります。それはトンネル栽培です。霜の心配がない温度で育てられれば、冬のあいだも春菊(シュンギク)を収穫することが可能です。
春菊(シュンギク)の保存方法
春菊(シュンギク)は何もしないと乾燥してしまうので、すぐ食べないときは収穫後に濡らした新聞紙にくるんでおきます。新聞紙にくるんだ春菊(シュンギク)をビニール袋に入れて、冷蔵庫に立てた状態で保存します。
春菊(シュンギク)の害虫対策
春菊(シュンギク)栽培中に気をつけたい病害虫について、その種類や対策、予防方法についてまとめています。
害虫について
・アブラムシ
春菊(シュンギク)の葉の裏に発生し、吸汁することでウイルス病を媒介します。二次的被害を防ぐために見つけたらすぐに駆除します。繁殖力が旺盛なアブラムシは春から秋にかけて多く発生するので、シルバーマルチなどを敷いて飛来させないことが重要です。
・アザミウマ
スリップスとも呼ばれる害虫で、体長は1mm~2mmと小さな虫です。幼虫は春菊(シュンギク)の葉を吸汁して食害します。夏頃に多く発生し、種類によってはウイルス病を媒介します。発見したらその場で駆除します。アザミウマが発生しやすい原因の雑草は除草して、成虫を飛来させないために光反射テープを張り巡らせるのも効果的です。
・ヨトウムシ
夜になると活動を始めて、春菊(シュンギク)の葉を食害します。昼間は隠れていることが多いので、食害された株の周辺を掘って発見したらすぐに駆除します。種まきをしたあとは防虫ネットや寒冷紗をかぶせて成虫に産卵させないように対策をします。
・ネキリムシ
暖かくなってきた時期から秋頃に注意したい害虫がネキリムシです。春菊(シュンギク)の茎の部分がネキリムシに食害されると、株が横に倒れてしまうことがあります。発芽したばかりの頃に発生しやすいので、見つけ次第すぐに駆除します。
病気について
春菊(シュンギク)は他の野菜に比べて病気にかかりにくいと言われています。ただし、高温多湿のときは「炭そ病」や「べと病」といった病気が発生することもあるので、出来るだけ密植は避けて、風通しの良い環境で育てることが大切です。
・炭そ病
炭そ病にかかると春菊(シュンギク)の葉に淡く茶色い病斑がでて、徐々に葉が枯れた状態になります。
炭そ病が発生している葉を見つけたらすぐに除去して、畑の外で処分します。高温多湿にならないように水はけを良くして、定期的に間引きをして密植にならないように気をつけます。
・べと病
べと病にかかると葉の裏にカビが生えます。雨が長く続くときに発生しやすい病気で、カビがすす状になって生えるのが特徴です。症状が進むと葉が枯れてしまう場合があるので、発生したときはその部分を除去して畑の外で処分します。多湿になると発生しやすいので、水はけを良くすること、密植にならないように間引きや除草をすること、日当たりや風通しの良い環境で育てることが大切です。
独特の香りと味わいがくせになる春菊(シュンギク)は、基本の栽培方法を知っていればご自宅の庭やベランダに置いたプランターでも簡単に育てられる野菜です。春まきと秋まきの二回にわけて種まきをすれば、真夏と真冬を除いてほぼ一年中栽培することも可能です。
種まきの時期をずらして収穫を長く楽しんだり、色々な品種に挑戦してみたりするのもおすすめです。家庭菜園にはじめて挑戦するときはぜひ春菊(シュンギク)栽培に挑戦してみてくださいね!
公開: 2021年6月25日
更新: 2021年10月18日
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