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春へのワクワクがとまらない!
春咲き球根をコンビネーションで楽しむ!

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平工詠子(ガーデンデザイナー/ガーデナー)

秋に植えて春に咲く球根というと、何を思い浮かべますか? そう、チューリップ!今回ご紹介するのは、春に花咲くさまざまな球根を効果的に組み合わせて楽しむ、「春咲球根のコンビネーション」の話です。

私がこの楽しみ方にはじめて出会ったのは、2012年開催のオランダ国際園芸博覧会(フロリアード2012)です。そして、五つのエリアからなる66ヘクタールの会場の球根デザインを担当したのが、ジャクリーン ファン デル クルート(Jacqueline van der Kloet)さんでした。ジャクリーンさんは、オランダを拠点に彼女独自の球根をはじめとするナチュラリスティックなデザインスタイルで、アメリカやヨーロッパなど、海外でも広く活躍されているガーデンデザイナーです。代表的な作品はオランダの球根メインの庭園・キューケンホフの球根花壇です。

それでは、オランダで体験した春咲き球根の新しい楽しみ方を、ジャクリーンさんの手がけた例で見ていきましょう

 

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ナチュラリスティックな球根コンビネーションデザインの第一人者、ジャクリーン・ファン デル・クルートさん。

 

 

国際園芸博覧会でのデザイン

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フロリアードのメインエリアでは、クロッカスや極早咲きのチューリップ、スイセンなど、背の低い球根の開花から春がはじまりました。

 

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同じ場所でも最初の花が咲き進むにつれ、女性らしいカラーコンビネーションが出現。チューリップのコンビネーションに加えてアネモネ・ブランダや新たなスイセンなども組み合わさり、全体が軽やかな空間へと移り変わりました。球根だけで繰り広げられる花壇の彩りの移り変わりは、驚くことに1ヶ月半も続き、来場者を楽しみ続けさせてくれました。

 

キューケンホフでのデザイン

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キューケンホフでは、テーマの異なる組み合わせをデザイン。球根のコンビネーションに開花時期の合う花木の組み合わせは、驚きのアイデアでした。周囲の木々などの景色にうまく溶け込んだデザインがとても素敵です。

 

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キューケンホフでの球根と宿根草の組み合わせのエリアでは、白花を主に少量の朱色のチューリップを点在させて、ナチュラルな景色を演出していました。ポイントは、宿根草のフレッシュな葉と、開花の早いブルンネラの軽やかな水色の花がベースとなっていること。多すぎない球根の数のバランスと女性らしい落ち着いた配色がみごとです。

 

 

自宅でのデザイン

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ジャクリーンさんの自宅の見本ガーデン、4月の様子です。低木と宿根草で構成され、球根は色彩ごとにエリア分けがされていました。

 

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同じ時期の別の角度からの様子。葉が茂りはじめた宿根草に、点在して咲くピンク色のチューリップ‘ジャクリーン’が目に飛び込んできます。少ない球根で広いエリアをナチュラルに彩るデザインは、日本でもぜひ取り入れたいですね。

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初夏に向けて宿根草の葉が成長すると、茶色くなったチューリップの茎葉が目立たなくなり、景色はどんどん移り変わります。一つ前の写真と同じ場所だなんて、信じられないくらいです。

 

横浜でのデザイン

球根植物は、一年を通してさまざまな花を楽しめます。私の住む横浜では、開花の早いスイセンの中には、植つけ2年目以降は年明けから咲き始めるものもあります。早春に向けて、徐々にさまざまな種類の球根植物が咲きはじめ、4月には色彩豊かなガーデンを見せてくれます。下記は、2017年3月末~6月初めにかけて、横浜市で開催された全国都市緑化よこはまフェアのメイン会場の一つ、「ジャクリーンガーデン」の様子です。

横浜赤レンガ倉庫の隣の新港中央広場が、これまで日本では見られることのなかったナチュラリスティックな春の球根コンビネーションのガーデンへと変身。会期後半は宿根草のコンビネーション植栽へと移り変わり、訪れる人たちを魅了しました。デザイン・監修はジャクリーンさん。彼女のデザインの考え方や施工の方法を学ぼうと、地域を超えて日本のガーデナーたちが施工に関わりました。カラースキームのつなぎ方や開花期の組み合わせ、配置の仕方など、プロのガーデナーたちにとっても目からうろこのことばかり。

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横浜赤レンガ倉庫を背景に、景色を彩る球根コンビネーションの開花風景。

 

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3月下旬、早くから開花をしていたアネモネと水色のムスカリ‘ヴァレリーフィニス’が咲きそろいました

 

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4月上旬になると早咲きの赤いチューリップ‘イルデフランス’がアクセントカラーになりました。下地にはワスレナグサも開花しています。

 

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4月中旬には中咲きのチューリップの開花が加わり景色がさらに華やかに。花の大小、高低、色彩が絶妙なバランスでした。

 

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4月の下旬になると、遅咲きのチューリップと下層の花々が次のステージへと導きます。最後まで咲いていたチューリップは花期の長い‘レッドシャイン’。

 

 

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Colour Your Garden: Exciting Mixtures of Bulbs and Perennials (英語本)

ジャクリーンさんのアイデアが満載の球根使いhow to本です。来春に向けて、参考にしてみてはいかがでしょうか?

さて、次回はジャクリーンさんから影響を受け、日本人の感覚として私がデザイン・実践してきた球根コンビネーションについてお話し致します。

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平工詠子 GARDENER -詠- 代表

ガーデンデザイナー/ガーデナ-。東京農業大学グリーンアカデミー非常勤講師。東京農業大学農学部を卒業後、横浜の企業にてガーデンデザイン・施工・管理の業務に従事。2007年~2011年イギリスへ。現地のガーデン会社でガーデナーとして勤務し、さまざまな邸宅ガーデンで経験を積む。2011年独立。翌年のオランダ国際園芸博覧会(フロリア―ド2012)への派遣をきっかけに、イギリスやオランダで得てきたエッセンスを生かしたデザイン・メンテナンスで、ガーデンの監修・普及などの活動を行う。2017年の全国都市緑化よこはまフェアでは、ジャクリーンガーデンのコーディネーター、山下公園での市民連携花壇(9万球の球根ミックス花壇及び多年草花壇)のデザイン・講師を務めた。

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