2019.07.08 UP
Labyrinth バラの迷宮 pickup70
『ナディーヌ エクセラリッシ』
■作出:フランス ドニニク・マサド
■花色:アイボリークリームに中央がアプリコットイエロー
■花形:中輪/ロゼット咲き~ダリア咲き
■香質:強く広がる香り
■樹形:コンパクトな木立性で高さ1.0m
■花期:四季咲き
花の表情が開花段階で微妙に変化し、どの段階でも上品な雰囲気。アイボリークリームから咲き始め、開くにつれて中央にアプリコットイエローが現れる。外側の大きめの花弁は先が尖り少し波打ち、中央は丸く抱える。咲き進んで花色は少し淡くなって、中央には小さな舟弁がたくさん重なって現れ、中心にはグリーンアイものぞかせる。花全体で、カクタス咲きダリアを思わせるような個性的な咲き方に。房咲き。四季咲きで、ほんのりアプリコットも含んだクリーム色が秋花は濃くなる。強く広がる香りがある。葉は明るい緑色。細い枝にはトゲがほとんどない。樹はコンパクトで高さ1.0mの木立性。2019年日本発表。
ギヨー社で「ジェネロサ」シリーズを育種、その後独立したドミニク・マサドが2007年に作出。その作品は現在、アンジェのペタル・ドゥ・ローズ社から紹介されている。ほかの多くの品種同様、「レ・プロバンセレLes Provencelles」シリーズ(オールドローズの風情と性質にモダンローズの良さを持った洗練されたパレットカラーの花。四季咲き性、香り高く、耐病性に優れる)の一つに位置づけられている。同シリーズには枝が伸びる品種が多いが、この品種は数少ないコンパクトなバラとなっている。フロリバンダのようにバラ花壇にも利用できるが、草花との混植花壇の前面に植えると、四季を通じて微妙に変化する花の表情が楽しめるだけでなく、身近に芳香が味わえる。淡い花色は、草花とも合わせやすい。コンパクトな鉢植えにも。
最初はアイボリークリームでゆるやかに花弁を波打たせふんわりと咲き、花弁の元部にアプリコットイエローをにじませる
咲き進むと中央に細かい舟弁が現れ、全体としてダリアのような咲き方に。中央にグリーンアイをのぞかせる
株丈はコンパクト。花は香り高く、繰り返してよく咲く。メーン通路の脇・混植ボーダーの前面でパスの入り口に植えられたコピスガーデン(栃木県那須町)の庭。隣の青色のブルーキャットミント‘シックス ヒルズ ジャイアント’が花を引き立て、白い小花のエリゲロンなどが株元を引き締めている
玉置一裕 Profile
バラの専門誌『New Roses』編集長。
『New Roses』の編集・執筆・アートディテクションを行うかたわら、ローズコーディネーターとしてバラ業界のコンサルティングやPRプランニング、関連イベントのコーディネート、バラの命名等に携わる。
また園芸・ガーデニング雑誌への執筆や講演を通じて、バラの「美」について語ると同時に、新しいバラの栽培法の研究も行っている。
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