2019.08.02 UP
育てやすいヒガンバナ(リコリス)は、園芸初心者におすすめ!
秋になると、田んぼのあぜ道や河原の土手などに、赤いヒガンバナが咲いているのを見かけたことはないでしょうか。ヒガンバナ(リコリス)は丈夫で育てやすいため、ガーデニングを始めたばかりの方にはおすすめの植物です。
ここでは、ヒガンバナ(リコリス)の基本情報や育て方、仲間の植物などについてご紹介します。
秋のお彼岸の時期に赤い花を咲かせるヒガンバナ
ヒガンバナは個性的な姿をした植物です。まっすぐと伸びた茎に、細長い花びらは反り返ってカールしています。葉は開花時期にはつかず、花が散ったあとに出てくることも特徴的です。
ヒガンバナの開花時期は7月中旬から10月にかけてです。とくに9月下旬の秋のお彼岸の時期に咲いていることが多いため、この名前がついたとされています。
ヒガンバナの原産国は中国ですが、現在は日本全国に分布しています。ご近所の畑や田んぼなどで、ヒガンバナを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。ヒガンバナが日本へ入ってきた詳しい経緯はわかっていませんが、稲作の伝来と同時に伝わってきたとする説があります。日本の歴史が始まる前からこの地に根付き、数を増やしてきたようです。
ヒガンバナは寒暖差の大きい日本でも育てやすい花
ヒガンバナは、地域を選ばず育てることができます。また、寒暖差に強いのでガーデニング初心者の方におすすめです。ここでは、ヒガンバナの育て方をご紹介します。
土づくり
ヒガンバナは水はけが良く、通気性のある土を好みます。ただし、乾きすぎないよう、ある程度の保水力もある土をつくってあげましょう。
赤玉土小粒と腐葉土、もしくは堆肥を混ぜたものがおすすめです。赤玉土を多めにし、腐葉土や堆肥は2割~3割程度にとどめましょう。初心者の方は、元肥マグァンプKが配合された『ハイポネックス培養土 鉢・プランター用』を使うと便利です。
球根選び
ヒガンバナの球根は夏に販売されます。休眠期である6月から8月のうちに植えつけを済ませると、その年の開花時期には花を咲かせるはずです。ただ、選んだ球根が小さすぎると開花しないこともあります。すぐに花を楽しみたいなら、大きい球根を入手しましょう。
植えつけ
地植えの場合、球根2個分程度の深さに穴を掘り、球根が完全に土に隠れるように植えつけます。ヒガンバナの根はのびやすいため、土は深いところまで耕しておくことがポイントです。
鉢植えの場合は深めの鉢を用意します。根の伸長を妨げないように、土の表面ぎりぎりに球根を植えましょう。
球根どうしの間は、1個から2個分以上あけて植えつけします。とくに何年も植えたままにしたいのであれば、間隔を大きめにあけてください。球根が分球し、地中で増えていくためです。
手入れ
鉢植えの場合、花が咲くまでの間は、土を完全に乾かさないようにしましょう。適度な湿り気を保てるように水やりします。
花が終わった後、球根を太らせて翌年の花を咲やすくさせるために、水で薄める液体肥料「ハイポネックス原液」を7~10日に1回を目安に与えましょう。ただし、土が乾かず加湿すぎると球根が腐ってしまうことがありますので、やりすぎには気をつけてください。
地植えの場合はほとんど水やりをしなくてもかまいません。土が完全に乾ききってしまいそうなときは水を与えましょう。
分球
ヒガンバナは球根が分裂する「分球」によって増えていきます。大きく育った球根には小さな「子球」ができ、新しく芽吹いていきます。人の手を加えなくても自然と分球するため、一度植えつけしたらそのままにしておいてかまいません。植えつけから数年たてば、自然と花が増えているはずです。
次の開花に向けての休眠期間中は茎も葉も枯れているため、球根を植えている場所がわからなくなってしまうことがあります。誤って踏みつけないよう、目印をつくっておくと良いでしょう。
植え替え
分球の影響で球根どうしの間隔が狭くなってきたら、植え替えを行いましょう。植え替え時期は休眠期間の6月から8月ごろです。球根を乾燥させないよう、土から掘り出したらすぐに植え替えます。
ヒガンバナは、あまり頻繁な植え替えは好みません。一度植えつけしたら数年は動かさなくても済むよう、植える場所はよく選んで決めましょう。
色とりどりのヒガンバナの仲間たち
ヒガンバナはヒガンバナ科に含まれる植物です。ここでは、ヒガンバナの仲間となる品種をいくつかご紹介します。
キツネノカミソリ
一度きいたら忘れない独特な名称のキツネノカミソリは、日本原産の植物です。東北以南に自生しています。開花時期はヒガンバナより少しはやめの夏ごろです。
内側から外側へ広がるような、漏斗型(ろうとがた)といわれる花の形をしています。30cm~50cmの高さがあり、花びらの色は赤っぽいオレンジです。
シロバナマンジュシャゲ
シロバナマンジュシャゲは、名前のとおり白い花びらが特徴です。原産地は日本で、九州南部の暖かい地域に自生しています。花びらのふちが波打っているもの、ピンク色や黄色などが混ざる種類などもあります。高さはキツネノカミソリと同じく30cm~50cmです。
一説には、ヒガンバナとショウキズイセンが交雑してできた花と考えられています。開花時期は秋で、ヒガンバナと一緒に咲いている姿を見かけることもあります。
ショウキズイセン
ショウキズイセンは、漢字で「鐘馗水仙」と書きます。日本では四国以南に分布しています。ヒガンバナよりも少し幅広な花びらは黄色で、外側に反り返っています。
開花時期は秋ですがヒガンバナより少し遅めで、11月ごろまで咲いていることもあります。花の少ない時期に咲くため、切り花としても人気です。高さは40cm~70cmにまで伸びるものもあります。
その他の品種も多数
ほかにも、ヒガンバナには多数の園芸品種が存在します。赤色からピンク色や黄色、オレンジ色、白色、紫色、複色など、さまざまなカラーが楽しめます。ほとんどがヒガンバナと同様に育てやすい植物です。お庭にヒガンバナを植えるときは、ご一緒に植えてみてはいかがでしょうか。
おわりに
秋に咲くヒガンバナは、お庭の貴重な彩りになります。植えつけしたばかりの年は花は少し小さめですが、次の年からは根がしっかりと張り、花も大きくなります。さまざまな品種を植えて、カラフルな花畑をつくることも可能です。毎年の秋のお彼岸ごろの楽しみとして、ヒガンバナを育ててみてはいかがでしょうか。
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