ビワ(枇杷)

2020.12.14

主な時期:5 月~6 月
主な産地:長崎県、千葉県、愛媛県

ビワ(枇杷)を選ぶ

ビワはまず産毛があるか、ないかをチェック

ビワは収穫後、追熟させて美味しくなる果物ではありません。時間が経つと味が落ちていきますので、新鮮なビワを購入することが重要です。選び方としては、綺麗なオレンジ色をしていて、ふっくらと張りがあり、ヘタ周辺の果実が変色していないものを選びます。産毛がしっかりと残っている物がよいです。産毛が取れて光っているビワは収穫してから日が経っていますので避けましょう。白い粉(ブルーム)が残っているものは新鮮です。(ただし、ブルームは袋がけの段階で紙とこすれて落ちていることもあります)また、ビワは傷みやすく保存が難しい果物なので、表面に傷や茶色くなった部分が無い物を選びましょう。

生産量が減少。近年はビニールハウスでの促成栽培も。

1000 年程前から日本で育てられてきた歴史のある果物ですが、最近では生産量が減少している果物です。代表的な品種の「茂木」は江戸時代末期に中国から長崎に渡来した品種で、西日本の代表的な品種です。やや小ぶりですが、甘みが強く酸味控えめのビワです。同じく代表的な品種の「田中」は、明治 12 年に東京本郷の男爵である田中芳男氏が長崎から種子を持ち帰り、東京で育成した品種だそうです。現在では千葉県の房総産が有名で、茂木と比較すると少し大きく、糖度、酸度とも高いビワです。その他に、「大房」という品種があります。千葉の富浦町で多く栽培され大ぶりなビワです。「房総ビワ」として有名で、酸味が少なくとてもジューシーなビワです。「土肥」、「白茂木」といった白いビワや、「希房」という種がないビワもあります。

実、種、葉のすべてが万能薬として利用されていた

ビワの果実に豊富に含まれるβカロテンやβクリプトキサンチンは粘膜や皮膚を強化して湿疹やかゆみの緩和に期待できます。また昔から広く漢方薬や民間療法としてビワを使用されてきました。江戸時代、京都や江戸では乾燥したビワの葉や肉桂、甘茶などの煎じ汁である「枇杷葉湯(びわようとう)」が売られ、夏の風物詩でした。暑気あたり、食中毒の予防に効果があると伝えられています。せき止めには葉の煎じ液、ビワ茶は風邪の予防効果、あせもにビワ葉湯などです。種は焼酎に漬けた「ビワ焼酎」にします。それでうがいをすれば口内炎や歯槽膿漏にも効果があるといわれています。ビワのすぐれた薬効は、奈良時代のころ仏教伝来とともに伝えられたと言われ「大薬王樹」という言葉があるように、ビワの実、種、葉のすべてが利用されました。

ビワ(枇杷)を保存する

ビワはスグに食べるのが鉄則

ビワは日持ちがよくない果物ですので、購入後はなるべく早く食べるようにしましょう。保管する場合、常温保存でも良いのですが直射日光を避け、風通しの良い涼しい所で保管するようにしましょう。常温で食べる方が、ビワの風味を感じることができますが、冷たいビワが食べたい場合には、食べる 1-2 時間前に冷蔵庫に入れるようにしましょう。あまり冷やしすぎると風味が落ちてしまいます。たくさんビワがある場合、ジャムやコンポートにすると長く保存することが出来ますが、βクリプトキサンチンは熱に弱いので、免疫力をアップさせたい場合は、生のまま食べるようにしましょう。

「害虫」や強い日差しによる「しみ・そばかす」などから果実を守るため一果一果、手作業で袋かけをします。

ビワの葉から抽出した「ビワ茶」。美肌効果やアンチエイジング効果に期待できます。ノンカフェインです。

長崎や千葉で人気のあるビワゼリー。つるんとした喉ごしで、冷やして食べると美味しいですよ。

葉っぱの形が楽器の琵琶(びわ)に似ていることから、その名がつけられたと言われています。

ビワ(枇杷)の豆知識

産地のみで食べることが出来る美味しいビワ

種を取り出す食べ難さや、農家の高齢化、寒波に弱く収穫が安定しないなどの理由もあり、ビワの生産量が近年減少しています。種が大きく食べる部分が少ないと思われがちですが、食べることができる部分の割合はバナナとほぼ同じ 70%近くが可食部です。大玉の品種や、種なしの品種も開発されていますので、今までに食べる機会が無かった方は、これを機にビワを食べてみることをおススメします。皮は手でおへそ側から軸へむき、軸を持って、先端の部分から皮をむくと、手を汚さず上手にむくことが出来ます。産地だけでしか食べることのできないビワもあります。それは過熟ビワです。過熟ビワは皮に縦のひび割れが入りますが、特別に甘くなっています。見た目の問題から、市場へ流通されることは無いので、産地で見かけたら食べてみて下さい。また、皮に赤アザが入っているものは、日当りの良いところで育った証拠で、味もおいしいビワです。こちらも産地でしか食べることが出来ませんよ。

長崎甘香(あまか)
正式な品種名は「福原早生」です。長崎甘香はブランド名です。「白びわ」と「瑞穂」の交配で誕生したビワで、甘みと香りが高く、ビワの中でもトップクラスのジューシーさを誇ります。

唐川びわ
愛媛県伊予市唐川地区は、「日本で最も出荷が遅い(初夏が旬)びわ産地」です。唐川ビワの品種は「田中」が中心です。甘味と酸味のバランスがよく、やさしい味です。

なつたより
2009 年 2 月(平成 21 年)に登録された、新しい品種のビワです。「なつたより」は果実が大きく、果肉が柔らかく、酸味の少ないビワです。後味がサッパリとしています。

大房(おおぶさ)
「房総ビワ」として千葉県を代表するビワです。酸味が少なくほどよい甘みですが、ジューシーな品種です。皇室へも献上される品種のビワです。

涼風(すずかぜ) 長崎

「涼風」は今、日本で最も多く作られている「茂木」に「楠」を交雑させて作った品種です。
さわやかな甘みで酸味はほぼなく、香りが良いです。まだ生産数はあまり多くない品種です。

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