富山の魚が美味しいのは、海底の地形に理由がある

2021.12.04

ブリ、ホタルイカ、シロエビというと、富山県が平成8年(1996年)10月に認定した「富山県のさかな」 です。
「富山湾の王者」ブリ、「富山湾の神秘」ホタルイカ、「富山湾の宝石」シロエビです。
それらに次ぐ富山県推奨とやまブランドとして、強力にPRされているのが紅ズワイガニの「高志(こし)の紅ガニ(あかがに)」です。水深800m以深にいる紅ズワイガニを傷つけることなく獲る「かにかご漁」は富山県魚津漁協が開発されました。

ブリ

この魚の名前は何?

正解は②です

冬に獲れるブリは「寒ブリ」とも呼ばれ、特においしいとされています。ブリは漢字で書くと、魚に師匠の「師」です。
師走に食べると美味しいから、魚に師走の「師」とも云われますが、これは語源ではなく、旬を分かりやすく説明している言葉です。

どうして「ブリ」という名前が付いたのか?

どれも正解っぽいですが・・・

正解は①です

なぜ『ブリ』という名が付いたのか?由来はいくつかありますが、脂の乗っている魚であることから「あぶら」が「ぶら」となり、「ぶり」となった説が有力です。

照り焼きに合う切り身

パサパサした照り焼きを食べた経験ありませんか?

照り焼きには腹側がおススメです

ブリの刺身に大根おろし

大根には脂肪分解酵素の「リパーゼ」があるので、脂肪が多い魚の消化を促進してくれます。
寒ブリは醤油をはじくほどの旨い脂があるので、醤油ではなく塩で頂くのもおススメです。

「ブリ」と「寒ブリ」は何が違うのか?

ブリは回遊魚のため、一年中獲れる魚です。寒ブリは、字の通り、冬期に獲れるブリのことです。
「寒ブリ」というと、氷見の寒ブリですが、なぜ氷見の寒ブリが美味しいのでしょう?

その秘密は 400 年以上前から行われている定置網漁にあります

ブリは温暖系の魚で、春に九州の長崎周辺で産卵し、生まれた稚魚はエサを求めて日本海を北上 し、北海道へ。
夏から秋にかけてエサを食べてパンパンに太り脂の乗ったブリたちは、冬に産卵のために再び九州へ向かいます。

九州へ向かう途中、佐渡ケ島のあたりで例年、11 月~12 月に海が荒れ、富山湾の奥深くまで避難してきます。能登半島があるので、富山湾に入り込んでしまうのです。
と、そこに数キロにも及ぶ大きな定置網が仕掛けられており、ブリはそこに入り込んでいるのですが、網が大きすぎるので船に揚げられる直前まで気づかずにのんびり泳ぎまわっているので、ブリにはストレスがかかっていないのです。
ブリを船に揚げたら、一気に水氷に浸けて仮死状態にします。これを『沖じめ』と言うのですが、このやり方が『ひみ寒ぶり』の鮮度と旨みの秘密と云われています。

日本三大深湾

ご存じの方も多いかと思いますが、富山湾は相模湾、駿河湾とともに日本三大深湾で、湾の大部分は水深300メートル以上、深い部分は水深1,000m以上になっています。ちなみに深海の定義は水深200メートル以上です。また、岸近くから急に深くなっているのも特徴で、海底は谷間(海底谷)が数多く刻まれており、複雑な地形をしています。

深層水

富山湾は、主に3つの層の水で構成されています。
河川などから流れてきた塩分の低い「沿岸表層水」があり、その下水深200~300メートルには「対馬暖流系水」、さらに水深300メートル以深に「深層水」があります。
この「深層水」は塩分濃度が高く一年を通じて水温が2℃前後の安定した低温で、植物プランクトンの栄養源である栄養塩が豊富です。富山湾の容積の約60%はこの「深層水」になります。

富山湾は海と山が近く、標高3000m級の立山連峰がすぐ近くにあるので、栄養豊富な河川水が海に流れ込み、プランクトンを育みます。起伏に富んだ海底地形に、暖流と深層水が混じり、他の地域にはない多くの魚種がいるのも富山湾の特徴です。

呼び名が変わる魚です

全部ブリなのですが、ブリは出世魚と云われ、大きさにより呼び名が変わります。また、地方によってもその呼び名が変わります。

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