2019.07.24 UP
植えてみたい宿根草
魅力のペレニアルアルバム
今年もたくさんの宿根草(ペレニアル)が季節を彩っていますが、みなさん庭で楽しんでいますか。 バラにばかり目がいってしまい、その他の草花、多くは宿根草ですが、あまり関心を寄せていない方もおられるのではないでしょうか。実は、すてきな庭づくりで欠かせないのが宿根草、そして、それはけっしてバラの脇役ではなく、庭の主役といってもよいくらい、重要な役割を果たす植物です。自分の庭が自分の思うような、あるいは思う以上の庭にしたいと悩んでいる方へ、宿根草の魅力をバラとの組み合わせなどの話も交えて、金子慎吾さんに教えてもらいます。
金子さんは、群馬県伊勢崎市にあって、宿根草苗とバラ苗を中心に販売している今話題のショップ「ローズガーデンカネコ」のオーナーでもあり、また、個人邸などの庭づくりや庭木の剪定なども手がけていて、庭師としても活躍している、新進気鋭の園芸家です。では、さっそく宿根草の魅力を紐解いていきましょう。
宿根草とは
まずは、宿根草の基本的知識を。ウィキぺディアによると「多年生の草本のうち、生育に適さない時期(多くの場合冬であるが、夏のこともある)には地上部が枯れてしまうが、それをすぎると発芽して再び生育を始めるものをいう」とあります。根が地中に宿る、枯れずに残るということで、園芸の場合、地上部が枯れるかどうかは問わずに、年を越して生育する草本のことを言っています。ただ、球根で年を越す植物もありますが、多くの場合、球根は球根植物として扱われています。
国道50号線沿いにあるローズガーデン カネコ。季節営業で夏は休業中。次の営業は10月から
つまり、宿根草ではない一年草だと、毎年苗を植えて咲かせて枯れて株を抜く、そしてタネからふやして苗にして植えつけるか、ふたたび苗を買って植えつけるかが必要になります。、もちろん、植えっぱなしでよい、という訳ではありませんが、それなりの手入れで庭をきれいに維持することができ、宿根草の場合、毎年同じ花が咲くといっても、その年ごとにその表情も変わり、その変化を楽しむことになります。バラのような派手さはありませんが、たくさんの種類があって、花の姿も、草の姿も、葉の姿も変化に富んでいますので、楽しみ方も自由自在です。みなさんが大好きなイングリッシュガーデンも基本、宿根草の庭です。
金子慎吾さん
金子慎吾さんに聞いてみた
――宿根草に魅入られたのはなぜ
最初はバラの栽培から園芸の世界に入りましたが、元々は切り花の業界で働いていたので、庭の花を収穫してフラワーアレンジメントを楽しむのが理想的な楽しみ方と思っていました。しかし、切り花での草花の種類の流通量は今に比べると当時は少なく、庭の宿根草の葉や花などを使ってバラと飾る、ということを意識していたらいつの間にかたくさんの宿根草を庭に植えていました。バラと宿根草は切り花で楽しむときもすごく相性がいいのです。
――宿根草の魅力とはなんでしょう
宿根草は冬には地上部は枯れますが、春には再び芽を出し、毎年楽しめる植物です。一年草に比べ、花期は短いものの、種類によっては花が咲き終わった花がらも絵になるくらい、宿根草ならではの個性があります。植物の特徴を捉えて花の咲くタイミングや、花色、葉色を上手に合わせると素敵なお庭の演出ができると思います。
――宿根草を上手使うポイントは
一番はその種類に適した土壌と環境を選びます。近年の宿根草のポット苗はラベルに草丈、日当たり、耐暑性、耐寒性などが明記されています。それも参考にして、一日中日光に当たっても大丈夫なもの、午後からの日差しを避けた方がいいものなど、性質を理解して配置を考えましょう。ただ、多くの種類は、あまり日光が当たらないと花が少なくなる原因にもなります。ある程度の日当りは必要です。
――バラとの組み合わせで宿根草を使う場合、どんなことに気をつける
バラの株元が寂しいから何か花を植えたいという話はよく聞きます。バラと宿根草の共演は誰もが憧れることでもありますよね。もちろん、私もオススメはしていますが、ただし、一番気をつけなければいけないことは、他の植物の葉でバラの株元が埋もれてしまうことです。そうなるととたんにバラが病気や害虫の被害にあいやすくなります。ですから、目安としてはバラの根元から周囲約30〜40cmの空間は、スッキリと何もない状態にしてほしいのです。
――これからの宿根草栽培の注意点等を教えてください
宿根草の中には高温多湿が苦手な種類もあります。そこで少しでも蒸れを防ぐ為に切り戻し作業をしてあげることが大事です。できるだけ、梅雨が明けるまでには済ませたい作業です。作業後は、気温が高くなる真夏にはふたたび葉が茂り、今度はその葉が株を暑さから守ります。そうすることで暑い夏を乗り切って、秋ふたたび生き生きした株になります。ただ、種類によっては真夏の切り戻しで、株を弱らせることも、あるので適用を知ることが大事です。
宿根草について語る金子さん
大鉢づくりの宿根草見本園
ここローズガーデンカネコでは、宿根草を大鉢植えにして栽培し、花を咲かせて、お客様に見本鉢として見せています。庭植えではありませんが、見本ガーデンでもない限り、通常多くのお店では苗の状態でしか生育した姿を知ることができません。本やネットでその種類の姿を知ってお店に来ることが多いのですが、やはり苗では、成株の状態と繋がらないことも多く、実感が捉えられません。しかし、鉢植えとはいえ大鉢での栽培ですから、その宿根草の魅力が実際にこの目でわかるようになっています。
花のサンプルとして大鉢で宿根草を育てて見本園にしています
園芸は趣味ですから好きな花を植えたいという気持ちが一番ですが、地域、庭の環境等によっては、宿根草の種類によって栽培の向き不向きもあります。自分の庭に向いた宿根草を知るためにも、こういったお店でしっかりとその宿根草のことを知って、楽しみたいものです。何せ、植えたら何年も育てて楽しむのが宿根草なのですから。
ローズガーデン カネコ。お店のフロントはたくさんの宿根草の苗が。右奥に大鉢見本園、その奥がバラ苗エリア
これから、具体的な宿根草の紹介と、その育て方、また、バラとの相性や組み合わせ方などを、金子慎吾さんが随時解説をしていきます。トップバッターは「ティアレラ シルベラード」です。
金子慎吾の植えてみたい宿根草
ティアレラ シルベラード
学名 Tiarella‘Siilverad’
科 ユキノシタ科
属 ティアレラ属
ティアレラは北アメリカ原産の常緑の多年草(宿根草)です。草丈は20~40㎝、耐陰性があるので日陰でもよく育ち、花も咲くので、シェードガーデンに最適です。ただ、この品種シルベラードは、日当たりが好きな方なので、日当たりでも花がよく咲きます。花期は4〜7月と比較的長く、バラと一緒に咲いてくれます。西日を避けた明るい半日陰で、花色が白や淡いピンクのバラとあわせるのがよいでしょう。ティアレラの線香花火のような花が、バラの花をよりオシャレに美しく引き立ててくれます。ティアレラはカラーリーフと人気があるヒューケラの仲間ですが、花はベル型でティアレラと異なります。
◆栽培のポイント 庭植えでは、強い西日の当たらない、水はけのよい場所に元肥を施して植えれば、後は特に手間がかかりません。鉢植えでは、水はけのよい市販の培養土等に元肥を施して、植えつけます。夏は暑さと直射日光避けた場所に置けばいいでしょう。鉢土の表面が乾いたら十分に水を与えます。春と秋は液体肥料を、2週間に1回ぐらい水やり代わりに施すとよいでしょう。
ローズガーデンカネコ(現在夏季休業中)
秋季営業は10月1日からを予定しています。
〒378-2203
群馬県伊勢崎市曲沢町51-1
Instagram:rosegarden.kaneko
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