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人気スポット服部牧場にある
こだわりのペレニアルガーデン

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牧場とガーデン、動物と草花、両方とも私たちにとって癒しとなる素敵な場でありパートナーです。その両方を楽しめるスポットが神奈川県愛川町にあります。観光牧場として人気の服部牧場です。

 服部牧場は昭和44年に開場し、その後、都市近郊型の近代牧場へと整備されてきました。今では、牛や馬、羊、その他の動物たちとの触れ合いや乳搾り体験、乗馬体験、シープドック講習など、さまざまな牧場体験ができ、直営のアイス工房で味わえる、搾りたての乳を使ったソフトクリームやジェラート、ドイツ仕込みの手造りのソーセージも人気です。

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その服部牧場に、4年前に登場したのがペレニアルガーデンです。牧場の敷地の奥、園路から一段高い場所にあるので気づかない人も多いのですが、ガーデンの背景にはやわらかな緑の山並みと、牛舎やサイロが見え、ガーデンに一歩足を踏み入れると、そこはヨーロッパドイツ、あるいは北海道の牧場の雰囲気を彷彿させてくれます。

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初夏のある日訪れてみました。これから夏に向かって花数が充実する、彩りのあるガーデンの季節です。とはいえ、ここにはバラは1本もなく、一年草もこぼれダネでふえて自然に生えるニゲラなどごくわずかです。すべてが宿根草(ペレニアル)といっても過言ではなく、その組み合わせで構成されています。ですから、花数が多いと言っても、ローズガーデンや花壇を見慣れた人たちの目には、ぐっと地味で大人のガーデンに映るかもしれませんね。

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こぼれダネでふえるニゲラ

 

しかし、このガーデンの特徴を、訪れた方には自然と受け入れてもらえているようです。そう語るのは、ガーデンを一人で管理する、ガーデナーの平栗智子さんです。

「最初はショップ近くのコーナーなどにガーデンをつくっていたので、社長に牧場内の日当りのよい所にもガーデンをつくりませんかと提案しました。最初の候補地は放牧地のそばでしたが、最終的にこの場になりました。社長からの要望は、いかにも花壇といった段差のある庭にしないでくれということくらいで、冬場は宿根草が枯れてしまって寂しいので(オーナメンタルな姿を残す)グラス類は春先までそのままにしてくれと言ってくださるほどの理解者です。ガーデナーとしては本当に幸せな環境だと思います」

社長の服部誠さんはその昔、学生時代は箱根駅伝で二区を走った方だそうです。そして、ガーデナーの平栗さんは、OL生活から趣味が高じて園芸や、樹木の生態の勉強をはじめ、その後園芸店で働くようになったそうです。園芸店では敷地内のサンプルガーデンを任されたのを機に、ガーデンボランティアなどで経験を積み、宿根草の仕入れ担当になったおかげで、その生産者さん達との交流の機会を得たことは、その後のガーデナー人生に多大な影響を及ぼしているそうです。園芸店の閉店後、縁あって服部牧場ではじめて大きなガーデンのデザインと栽培・管理を手がけることになったといいます。

 

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様なリーフ類がガーデンの景色をつくっている

 

「社長はイギリスが大好きな方なので、ガーデンにたくさんのグラスがあることにも何の違和感もないようです。社員の方々も研修でイギリスに行っていますが、帰って来ると牧場のガーデンと同じ花がたくさん咲いていたと喜んでくれます。社長はガーデンのお花を仏花としても飾って下さいますが、花・花・花ではなく草(グラス)も入れてねとおっしゃいます。チューリップはすぐ終わっちゃうからスイセンがいい!とか、私好みの変わった植物を喜んでくださるのでとてもありがたいです」

 社長のこだわりは平栗さん自身のこだわりとも合致したようで、庭づくりや管理は、思うようにやらせてくれて感謝しているとのこと。ここでいろいろな種類の栽培を試して試行錯誤しているのも、見守ってくれているそうです。では、平栗さんのこだわりを聞きましょう。

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アリウム・ギガンチウムなど個性的なフォルムの植物がいっぱい

「服部牧場に来るお客様の大半がファミリーかカップルです。そのためお子さんなど人がお花畑の中に居るような写真が撮れるように、細長いアイランド型の場所をいくつかつくっています。また真っすぐの道もないため、迷路みたいと言われる園路になっています。そして子どもさん達がかくれんぼ出来るくらい植物も大きく育っています。植物にまったく興味のない方も多く来場されますので、ここでは植物のフォルムは重要です。球体の花が咲くアリウムや、アザミの仲間のようなトゲのある植物など、変わったフォルムの植物はよく名前を聞かれます。男性の方にも興味を持って頂けるようなかっこいいフォルムの植物も多用しておりますので、幅広い層に楽しめるガーデンになっていると思います」

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よく見るといろいろな花も咲いているガーデン

今、ガーデンに植わっている植物の種類、数百はあるといいますが、途中から数えるのをやめてしまったそうです。当初は図面で考えそれに沿って植えていったのですが、骨格のようなものが出来上がった後は、好きなものを仕入れて、その苗を植える場所は、ランドスケープ的な感覚は崩さずに実際のガーデンを眺めながら決めているといいます。

 

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クガイソウ

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こうして手入れを進めているペレニアルガーデン、4年を経て毎年リニューアルをしながらも、かなり自然な姿になってきています。昨年の夏と秋にも訪れましたが、そのときとも季節の違いでの違いがありますが、変わらない景色と変わる景色のバランスが絶妙ですばらしいと感じました。

 

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子どもたちにも人気のグラス類

 

派手な色目の花は少ないといいながら、アリウム・ギガンチウムのようなフォルムの花は、平栗さんの好みでもあり、たくさん咲いて個性的なフォルムが目立っています。風が吹いてくれば、グラス類が風になびいてなんともいえないいい光景が目に入り、その風を肌でも感じることができます。そして、子どもたちがグラス(スティパ・テヌイッシマ)を動物の毛みたいで気持ちいい!と撫でています。日本のガーデンではまだまだ敬遠されがちと言われているグラス類も、ここでは子ども達に簡単に受け入れられているようです。

 

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専属ガーデナーの平栗智子さん

 

ペレニアルガーデンというと大人のガーデン、クオリティの高いガーデン、花好き庭好きのためのガーデンみたいなイメージもありますが、服部牧場のガーデンは、確かに大人の雰囲気もあり、クオリティも高い庭ですが、けっして一部の花好きや庭好きのためのガーデンではなく、大人から子どもまで誰もが植物を、花を楽しめる身近なガーデンであるようです。

 

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8月のガーデン(2018)

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10月のガーデン(2019)

 

「圏央道のおかげで都心からも近くなりましたが、自然に恵まれた神奈川県愛川町の山間地にあるガーデンなので、北海道のガーデンで見られるような花々も咲いています。牧場に来られたお子さん達に、小さいころから宿根草やグラス類に無意識に親しんで頂けたらと願っています。これから夏、秋と景色が少しずつ変わっていきますが、夏に穂を出すグラス類は雄大ですし、10月頃に穂を出すミューレンベルギア・カピラリスは、初めて見たお子さん達からも綿菓子みたいと好評ですので、ご来場の際はぜひガーデンも覗いてみてください。そして、毎年少しずつ変化するガーデンですので、一期一会の風景を楽しんで下さい!」

 

服部牧場のファームガーデンへようこそ!

 

写真・文 出澤清明
園芸誌の元編集長。現在、園芸普及家として、各所に取材に出かけながら、さまざまな花と緑の楽しさを発信している。

 

 

 

服部牧場
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〒243-0307 神奈川県愛甲郡愛川町半原6087
春~秋 営業時間:10:00~17:00 無休
冬季 16:00閉場 金曜定休
入場無料 駐車場有(無料)約200台
TEL:046-281-0917

<車>
園央道相模原ICから15分、東名高速東名厚木ICから40分

<電車とバス>
小田急線本厚木駅から神奈川中央交通「野外センター経由半原」行、愛川大橋下車徒歩30分行、JR線・京王線橋本駅より神奈川中央交通バス「鳥井原ふれあいの館」行、串川橋下車徒歩30分

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