2019.09.27 UP
「天下一植物界」BBBってどんなイベント!
京セラドーム大阪開催 おもしろかったという声がいっぱい
2019年6月22日(土曜)から2日間、 京セラドーム大阪スカイホールBブロックにて、新しい植物イベントが開催されました。その名も「天下一植物界」。これまでにない、植物界、園芸界の未来を感じる新しいイベントとして、多くの人が注目しました。果たしてどんなイベントだったのでしょう。仕掛人でこのイベントを成功させた植物探検家の長谷圭祐さんに寄稿いただきました。
天下一植物界は僕が大学生のときに始めた植物イベント『BORDER BREAK!!(ボーダーブレイク!!)』(以下BB)が前身になっています。BBはその名前の通り、ボーダー(境界)を壊していろいろなジャンルの植物を一堂に集めてしまおうという趣旨のイベントです。2019年で7年目になるのですが、これまでの会場だと少し手狭になってきて、出店者もあまり変わらないのでマンネリ感がでてきていました。そこで、場所を変えて広くしたらもっとおもしろいことができるのではないか、というのがきっかけで生まれたのが今回の「天下一植物界」です。サブタイトルはBEYONDをくっつけて、BORDER BREAK BEYOND(以下BBB)としました。
初開催ながら、58ものお店にご参加いただきました。熱帯雨林植物、ラン、サボテン、多肉植物、食虫植物、コーデックス、盆栽、水草、ティランジア、山野草、伝統園芸、植物図版、グッズ&アクセサリー、こだわりの胡椒や蜂蜜、果ては植物を原料に使ったお酒まで、過去に例を見ないほどボーダレスな植物イベントになったと思っています。
しかも、普段はなかなか見られない豪華な面子が揃いました。これはBBでの7年間の蓄積があったからできたこと、と振り返っています。また、最近のBBでは、植物マニアが楽しめるのはもちろん、「植物を始めたいけど、どこで何を買えばいいのかわからない」という植物初心者にもたくさん来ていただいています。それは「BBに出ているお店ならまず間違いない」という信頼感のおかげだと思います。BBBの開催でもその部分を大切にしました。全出店者は以下のとおりです(順不同)。
アクアデザインアマノ/Asiatic Green/Aquarium TALLMAN/
Azul Aquarium/Bar Chlo/Begonia Garden/
Bela Vista Orchids/ボルネオギャラリー/cokeco/
大樹園/植物屋 Dohraku/dubhe/ERIOQUEST/
Flora of Madagascar/Green Note/はちのへ洋らん園/
花宇宙/HEAT WAVE &山水苑/Hiro‘s Pitcher Plants/
宝生園/芳明園/おもとの豊明園/市野伝市窯/
ISHII PLANTS NURSERY/Joe and mom orchids/
仙人スパイス/海洋自然博物館マリンジャム/
喜晴園/小林商会/KOKESHINOBU-LOG/
Light-Box/松本洋ラン園/南九州植物園/
mog2 & sin/Mosslight-LED/Mundi Flora Farm/necomoss/
Plant‘s Work/(有)ピクタ/Snow Drop/
SPECIES NURSERY/STRAIGHT/STRINGEPLANTS/
STUDIO.ZOK/Succulent Box Ruchia/食虫植物探索会/
KYOTO TAKAHASHI ENGEI/Tanakay/
TEAM BORNEO/杜若園芸/つるかめ山草園/浦部陽向園/
雨林園藝 熱帯草屋LA/UNDERLEAF DESIGN./
vandaka plants/ワカヤマオーキッド/
陽春園植物場/葉風空間
海外からの出店もありました。エクアドルからはMundi Flora Farm、マダガスカルからはFlora of Madagascar、タイからはJoe and mom orchids、シンガポールからはAsiatic Greenです。こういった海外の業者は、ほとんど手に入る機会のない、それぞれの国の面白い植物を持ってきていました。エクアドルの小型着生蘭Lepanthesや、マダガスカルのOeceocladesなど、大阪では見られる機会がほとんどないことも相まって、どこもすごく人気がありました。個人的にはマダガスカルから来ていた着生シダHuperziaの仲間は面白かったですね。
入場料は先行入場 3000円(1日目のみ)、一般入場 500円、自由入場 無料と、時間ごとに三段階に設定しました。本気で欲しいものがあるマニアはもちろん先行入場で、少し覗きに行きたいだけのライトユーザーも夕方からは無料で入れるというシステムです。2日間での来場者数は、のべ3400人を超えました。これも事前の予想を大きく上回りました。BB同様、来場者の大多数は若年層なので、ベビーカーの無料預かりやキッズスペースなども用意しました。キッズスペースは好評で、植物の塗り絵を楽しんで帰ってくれるお子さんも多かったです。
今回初の試みとしては、豪華講師陣による講演があります。BBの7年間で、ジャンルフリーな中規模イベントというものがある程度浸透したので、今度のBBBでは、園芸植物界とアカデミックな植物界との橋渡しをしたいというのが一つの大きな目標でした。植物をコレクションすることを否定する訳ではりませんが、そこで終わってしまうだけではもったいない。アカデミックな側面を面白がってくれる人口をもっと増やしていきたいと思っているからです。
例えば、園芸業界と植物の保全は水と油のような関係に思えますが、実はそんなことはありません。お互いに話してみると、認識が変わる部分もあるはずです。また、一般の方に保全を訴えるにしても、まずは植物の魅力を知ってもらうことからスタートしないとはじまりません。それには植物グッズやアクセサリーなどから関心を持ってもらうのも一つの手だと思いますし、このイベントのように、業者だからできることもたくさんあるのではないかと思っています。
講演は1日に4回ずつ、計8回(最終日の閉場前に飛び入りでの講演があったので、正確には9回)行いました。構想の段階ではできればいいな、という感じだったのですが、本当にすごい方々が快く引き受けてくださって、学術的なトピックから栽培に関することまで、植物好きであれば誰もが楽しめる非常に充実した内容だったと思います。以下がその講演と内容です(順不同)。
「植物にも五感がある」三村徹郎(神戸大学)
「語り尽くせないシダの魅力〜古いけれど新しい植物〜」海老原淳(国立科学博物館)
「植物はなぜ春がわかるのか?〜季節を測る分子メカニズム〜」工藤 洋(京都大学)
「着生ランの実用的植え替えテクニック」清水柾孝(全日本蘭協会)
「室内栽培に使用する光源の性質とその利用方法」陶 武利(〈有〉ピクタ)
「コケの増え方〜精子は泳ぐし空も飛ぶ〜」嶋村正樹(広島大学)
「不死身ザマス〜植物の再生能力を科学する〜」岩瀬 哲( 理化学研究所)
「光合成をやめた植物の不思議な生活」末次健司(神戸大学)
個人的に面白かった講演は、ジョセフ・シムコックス氏のエディブルプランツに関するものです。ジョセフ氏は『BIZARRE EDIBLE PLANTS – UNKNOWN DELICACIES –』という本の著者。その出版記念に、今回のBBBに合わせて来日していました。他の方の講演を見て急遽参加したいとのことだったので、急いで時間を調整して開催したのですが、食用になる植物を求めて世界各地を飛び回っているだけあって興味深い植物の紹介が多く、非常に面白かったです。
今回のBBBの成功で、たくさんの植物好き、園芸好きの人たちが、こういったイベントに期待をしていることをあらためて認識しました。そのことに意を強くして、来年も開催予定です。2020年の5、6月ごろを予定しています。もちろん、BBもこれまでどおり開催していきます。次回は、12月7-8日に福島区のPINEBROOKLYNで開催します。BBB、今回は第1回ということで、手がかかりそうな企画などは極力省いたのですが、次回はもっとおもしろいことに挑戦していきたいと思います。
Mosslight-LED(左) ISHII PLANTS NURSERY(右)
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